ジンバルTIPS

 

ジンバルのジャイロキャリブレーション方法(その2)


その1の続きです。

Simple BGCのハードウェアタブ 「Automatic gyro calibration」の選択ボックスの中にある、
3.Try to calibrate or use previous values
を選択すると、どうなるでしょうか?
ジンバルは、起動時に以下のようなふるまいをします。


<1.起動時にカメラが静止していた場合>
ピン・ピン・・・と6回アラートが鳴り、ジャイロキャリブレーションを実施します。

<2.起動時にカメラが動いていた場合>
上記のキャリブレーションは実施されません。



では、1を再現すべく実際にジンバルを起動させて試してみましょう。





この状態で電源をONにしてみます。
すると、アラーム音がピン・ピン・・・と鳴り出しました。(計6回)
その後、例の起動メロディーとともにジンバルが起動しました。

ただ、この方法には大きな落とし穴があるのです。

ジャイロセンサーのキャリブレーションというのは、センサーが完全に静止状態である必要があります。仮にセンサーが少しでも動いた状態で校正されてしまうと、中途半端な結果となってしまいかねないのです。

例えばこんな足場でそれをやると、






不安定な椅子のクッションに三脚を置いていますよね。。
目には見えないものの、ジンバルの内部に埋め込まれているジャイロセンサーはこの微妙な揺れをそのまま感知して校正してしまいます。
あと、野外での実施はどうでしょうか?
風の影響とか設置する足場(例えば土面や草の上など)によって、校正時センサーは大きな影響を受けてしまいます。

ですので、私はこのミニ三脚上で起動する校正方法はオススメしません。
ではどうするか。
風の影響を出来るだけ受けないように、こう置けば良いのです。






見るからに揺れを検出しない「地ベタ置き」です。
3軸ジンバルは可動部分が多いため完全に動かなくなるポジションを探りましょう。
指や手でトントンたたいて「ガクッ」と動かない置き方にしておきます。

そして、置き方が決まったら、その状態でそっと電源をONにします。
やはり「ピン・ピン・・・」と音が鳴り始めますので、その回数(6回)を数えて

最後の6回が鳴り終わった時点で電源をオフにして下さい。
なぜオフにするかというと、このジンバルの姿勢のまま起動すると暴れだすからです。
アラート音がちゃんと6回終了すれば、キャリブレーションデータはジンバルに記録されますので、その直後電源をオフにして頂いても問題ありません。

その後は、ジンバルを手にとり通常通りに起動して下さい。
上の2で書いたようにカメラが動いている状態ではジンバルはジャイロキャリブレーションを行わないので、カメラをそっと手で持ち軽く揺するようなイメージで起動すれば無用なキャリブレーションを発動させずにすみます。中途半端に静止状態でジンバルを起動するのが一番良くないです。
キャリブレーションをやるなら地ベタ置きで完全静止状態に、やらずに通常起動するならカメラを軽くゆすりながら実施を完全キャンセル、この二択のみです。

あと、ジンバルを地ベタ置きする足場もとても重要です。
例えばこういうふかふかの絨毯の上はNGです。






野外で固い足場って何があるでしょう?
アスファルトなどは最適です。
ただ、アスファルトに地ベタ置きするとジンバル(カメラプレート下部やグリップなどの接地面)にスレ傷がつく可能性もありますので、置く際には注意しましょう。
どっしりと固い足場であればあるほど安定します。
机の上などは、どんなに大きく安定して見えるものでも多少の揺れを伴いますので避けた方が無難です。

また、パソコンのソフト(Simple BGC)上でもジャイロキャリブレーションを行うことが出来ます。






同じく「ハードウェア」タブ内にある、「IMU Sensors Calibrations」をクリックして下さい。すると以下のようなウィンドウが立ち上がり、保持状態にあったジンバルのモーターが一旦脱力し、フリーの状態になります。





ここでまずは、ウィンドウ右側にある「Gyroscope」の「RESET」をクリックします。
その後、やはりジンバル全体が微動しないように静止させて「CALIBRATION」ボタンをクリックします。

すると上記と同じくピン・ピン・・・とアラート音が6回鳴ってキャリブレーションが行われます。ミニ三脚に立てた不安定な状態で行うよりも、やはりジンバル本体を寝かせた状態で行うのがベストかと思います。


その他、ジンバル購入時の初期状態であればジンバルグリップ横にあるモードボタンを長押ししてやることで、ジャイロキャリブレーションを行うことが可能です。
ただし、これもやはり落とし穴があって、
1通電保持状態 → 2モードボタン長押し → 3ジンバル脱力状態 → 4校正開始
という流れになるのですが、3で脱力してカメラがガクっと動き静止しきらない状態で4の「ピン・ピン・・・」という状態となってしまう点が非常に残念です。
この仕様のために、現実的にはこの方法では完全に静止しきった状態でジャイロキャリブレーションを行う事は出来ません。

「ジャイロキャリブレーションはちゃんとやっているのに、どうも水平が狂ってしまう。カメラがゆっくりとドリフトしてしまう・・・。」
という悩みは、実はこういうキャリブレーションの実施精度不足から来ているものが大半だったりするわけですね。

ということで以上です、いかがだったでしょうか。
おそらくここまで詳細で有効なジャイロキャリブレーションの解説はなかったのではないでしょうか。
水平維持精度やドリフトのない望遠でのジンバル固定ショットなどでの微動のなさにこだわりたい方などは、ぜひ私が今回紹介した上記の方法を実施されてみて下さい。

もし有益な情報だと感じて頂けたら、ぜひ本リンクの拡散やブックマークを宜しくお願い致します。また、宣伝にはなりますが、実践経験豊富な当店でのジンバル購入もぜひご検討下さい^^

それでは皆様、ジンバルでブレのない美しい良い映像を!


本ページURL

http://pilotfly.shop/?mode=f10

ショップページTOP
http://pilotfly.shop/